今回は人間ドックの検便についてです。通常の健康診断でも検便はすでに知られた検査ですが、どういった病気のチェックに関わるか、正しい取り扱いはどういったものかなど、ご紹介したいと思います。
検便は何の検査に使用されるか?
検便は特定の病気の検査というよりは、それにつながるための簡易的な検査と考えることができます。以前は虫卵の有無を特定する検査として多く用いられましたが、現在では虫卵の存在はほとんど見られなくなりました。検便ではこういった人の体を脅かす細菌やノロウイルスなどのウイルスの存在があるかどうかの確認や、便中の血液混入の有無を確認するものです。
便の中の血液を調べることを便潜血検査といい、血液に反応する試薬を使用して検査します。結果が陽性となると主に胃を通過した後の消化管出血となり、大腸ポリープや大腸がん、痔などによる出血が疑われます。
人間ドックの検便を忘れた場合の対処方法
検便において二日分の検体が必要であるのに一日分しか採便できなかった、または一日分でも便秘で採便できなかった、自宅に忘れてきてしまったといった場合にはどうしたら良いのかについてです。また、検便の潜血反応を診断する場合には女性では生理中は検便できないこととなっていますので、提出できない状況も起きてきます。いずれにしても当日に提出できない場合には、まずは状況を説明しましょう。検査の目的によっても変わってきますが、人間ドックの他の検査を終えたあとでも提出可能な猶予期間があることが多いです。
便秘などで排便が困難な方はできるだけ水分補給や運動を心がけて自然排便で採便することが望ましいです。
検便をする期間はドック当日の何日前までOKか?
便には腸内細菌はもちろん、知らずに感染する細菌がいる場合などでは、時間が経てば経つほど細菌の増殖がすすんだり、感染の拡大原因にもなり兼ねませんので、できれば当日から3日以内の検便を準備できることが望ましいです。また時間が経過した検体では結果に反映し、疑陽性になる可能性も出てきますので、便秘などの状況で無理な場合には、最長5日前くらいまでに採便したものが良いとされています。その際には保管の仕方にも配慮した方が良いですね。
検便の保管方法について
採便後は冷所に保存するようになっていますが、具体的にはどういった場所がいいのか困ることがあるかもしれません。一番適度な場所は一般的には冷蔵庫と言われます。
採便した便の中に血液成分があったとしたら、保存方法によっては、ヘモグロビンが減ってしまい偽陰性といった結果が出る可能性があるためです。
しかし食べ物と排泄物を一緒に保管するというのには、抵抗を感じる方も多いと思われますので、最低、直射日光が当たらない涼しい場所を選んで保管するのが良いとされています。