今回は胆石症についてご紹介したいと思います。胆石という言葉は聞き慣れている方もいらっしゃるかもしれませんが、胆石症とはどんな病気なのでしょうか?
現代では、中高年者では10人に一人は胆石を保有しているというデータがあります。
なぜ胆石症になるのか?どういった症状がでるのか?などについて紹介したいと思います。
胆石症とは
人は食事で摂取した脂肪やビタミンの消化・吸収を助けるために、肝臓で「胆汁(たんじゅう)」という消化液を作る機能を持っています。胆汁は黄褐色をしています。
この胆汁が通る道を胆道(たんどう)といいますが、この胆道に結石という石ができる病気を胆石症と言います。この胆道は肝内胆管(かんないたんかん)、肝外胆管(かんがいたんかん)、胆嚢(たんのう)という3種類に分けられます。どこに結石ができるかによって、肝内結石、胆管結石(肝外胆管にできた結石)、胆嚢結石と名称が変わります。
胆石症は、性別では男性よりも女性の方が多い傾向にあります。
また、胆嚢結石は胆石症の約80%と最も多く、胆管結石は約20%、肝内結石は約2%といわれています。
胆石ができる原因
結石はコレステロ-ルを主成分とする「コレステロ-ル結石」、胆汁色素のビリルビンを主成分とする「ビリルビン結石」、「黒色石」に大別されます。
この中でもコレステロール結石の割合が7割~8割を占めています。
それぞれの結石によって原因が異なります。
・コレステロール結石
コレステロールが胆汁の中で結晶化した結石です。
本来は胆汁に含まれる胆汁酸の働きによって、コレステロールは胆汁内に溶けるため結晶化することはありません。しかしながら、「非常に高い脂肪の食事の摂取」「肥満」「高脂血症」「糖尿病」「妊娠」といった理由でコレステロールの量が著しく増加するとコレステロールの一部が溶けることができず結晶化してしまうのです。
・ビリルビン結石
「ビリルビン」は胆汁の色素成分です。もともとビリルビンは水溶性の成分なので結石になることはありませんが、加齢などが原因となり胆汁内に細菌が入ります。この細菌の酵素により成分が変化し、これにカルシウムが結合することで結石化します。また、胆汁がよどんでいると結石の生成を促進してしまうことになります。
・黒色石
先ほど紹介したビリルビンが過剰に増えたり、胆汁酸の濃度が下がったりするとビリルビンがカルシウムや銅などの金属元素と結合して複合体を作り、それが固まり黒色石となります。
症状
胆石症になると以下のような症状が見られます。
・肝内結石
発熱や腹痛がよくみられます。肝内結石になると結石により胆汁の流れが妨げられて胆管が炎症・感染を起こしやすくなります。
・胆管結石
発熱や腹痛(特にみぞおち)がよくみられます。また、尿の色がまるでウーロン茶のように茶色くなることもあります。
・胆嚢結石
無症状の人が多いのが特徴です。症状がでる場合は、上腹部の違和感や腹部膨満感などがでます。また、胆石疝痛(せんつう)と呼ばれる特徴的な腹痛を伴うことがあります。
これは脂肪分の多い食事をしたあとの上腹部の周期的な痛みで、背中や右肩のコリや痛みを伴うことがあります。
少しでもこのような症状に心当たりのある方は、お早めにご相談ください。